映画『トイレのピエタ』

 2011年3月11日以降、僕はさまざまな事に恐怖を感じながら暮らしている。
 しかし、それは「生きる」という行為を改めて考えるいい機会にもなった。

「トイレのピエタ」という構想が手塚治虫さんのメモ帳に書かれていたことを知ったのは今から10年以上前のこと。
 若くして死を宣告された男が、もがきながらトイレの天井にピエタ像を描くというシンプルな話に当時からとても興味を持っていた。

「死」から逃れられなくなった男が、残された時間の中で輝いていく姿に僕は光を見いだしてみたい。泥んこになりながら、がむしゃらに生きるその姿に。

 そういう想いから僕はこの映画をつくろうと思った。

 2011年から始まったこの企画は、4年の歳月を経てやっと完成した。
野田洋次郎、杉咲花をはじめ多くの素敵な出演者、スタッフに囲まれて完成したこの作品を、自身初の長編劇映画として世に送り出せることを幸せに思います。

一人でも多くの方にこの作品が届きますよう。

Director's Statements 2015/03/08
松永大司

閉じる