前作『×と○と罪と』から約3年。この稿を読んでいるあなたにはもはやいうまでもなく、RADWIMPSにとってこの3年―――いや、もっといえばデビュー10周年のメモリアルイヤーだった2015年から、この『人間開花』が完成するまでの時間はあまりに激動の季節だった。アジアとヨーロッパを回る海外ツアー「RADWIMPS 2015 Asia-Europe Live Tour」がスタートする約2週間前の9月23日。ドラマーの山口智史がフォーカル・ジストニアという神経症の治療のために無期限の活動休止に入ることが発表された。海外ツアー終了後にはバンドにとって初の対バンツアー「RADWIMPSの胎盤」の開催も決定していた。
●『君の名は。』の劇伴制作で得たもの
野田:『君の名は。』の劇伴で得たものは間違いなく大きくて。じつは「光」は最後の最後まで『君の名は。』の劇伴に入れるか迷った曲で。「前前前世」か「光」で迷ってた。「前前前世」はホントにど真ん中な曲だし、言葉が強い曲で。でも、せっかく監督が真ん中に引きずり込んでくれるなら、そこに乗っかってみようと思ったんですよね。さらに言っちゃうと1曲目の「Lights go out」も『君の名は。』のド頭に流れるイメージで作ったんだけど、英詞がネックになって採用されなかったんだよね。個人的には「これ、キターッ!」って思ったんだけど。だから、『人間開花』の1曲目は「Lights go out」に飾ってもらいたくて。この曲も何かが始まるというイメージだけで作ったんです。